皆さんは、いつから数えて「八十八夜」かご存じでしょうか。立春(2月4日)から数えて88日目にあたる日、今年は5月2日になります。「雑節」と呼ばれる暦日のひとつで、二十四節気・五節句などの暦日のほかに、季節の移り変りをより適確に掴むために設けられた特別な暦日のことです。この日は、種まき・田植え・茶摘みなどの農作業をおこなう頃と昔の人々はその時季を分かりやすくするため、「八十八夜」と名付けました。4月下旬~5月下旬にかけて、太陽の光をたくさん浴びてお茶の新芽もすくすく伸び、摘み取りの時期をむかえます。お茶の産地の茶畑は、黄緑色の絨毯が広がります。とてもきれいな日本の風景の一つです。今回は、日本の代表茶:「緑茶」についてご紹介します。
お茶は、発酵度によって種類が変わります。
・緑茶 …不発酵茶(酸化酵素を不活性化し、発酵させないようにしたもの)
・紅茶 …完全発酵茶(緑色の茶葉が深い茶色になるまで発酵させたもの)
・ウーロン茶…半発酵茶(ウーロン茶は、紅茶と緑茶のちょうど中間のもの)
北は、青森県・秋田県・岩手県・宮城県などの東北地方でも、ごくわずかに栽培されていますが、お茶の「経済的流通のある栽培地」としての北限は、新潟県村上市と茨城県久慈郡大子町を結んだ線付近とされています。南は、鹿児島茶までと日本の代表する緑茶だけあって幅広く広がっています。代表する産地は、静岡県(静岡茶)・鹿児島県(鹿児島茶)・三重県(伊勢茶)・福岡県(八女茶)などですが、他にもたくさん産地が点在しています。産地が違えば、風味も変わってきます。それぞれの緑茶を楽しんでみましょう。10月~11月下旬頃の短い時期には、白ツバキに似たお茶の花が咲きます。この時期に茶畑の近くを通る機会がありましたら見つけてみましょう。
お茶の摘み取り時期は、4回あります。春から秋にかけてありますが、『1番茶』と言われる4月から5月にかけての新茶は、香りもとても芳醇で茶葉を嗅ぐだけでもリラックスでき楽しめます。ちなみに、3番茶から4番茶の茶葉は、「番茶」「ほうじ茶」に使われることが多いです。
テアニンはその中でも「アミノ酸」に含まれ、味の特徴が甘み・旨みになります。新茶には、豊富に含まれていますので質の良い睡眠や作業の合間のストレス軽減が期待できます。
テアニンが特に多いお茶は、「日光を遮り育てた茶葉(玉露やかぶせ茶)」と言われていますが、もちろん、煎茶にも多く入っています。
茶葉の中には、カテキンやカフェインなどの成分も一緒に含まれますが、テアニンは低温の水に溶けやすく、カテキンやカフェインは低温の水では溶けだしにくい性質を持っていると言われています。そこで!低温で抽出できる「水出し緑茶」をおすすめします。抽出時間は長くなりますが、茶葉の甘みが強くでるためホッとするお茶を楽しめます。気温が高くなるこの季節にピッタリののどごし爽やかな水出し緑茶を淹れてみましょう。
「おうち時間」が増えた今、手軽に飲めるペットボトルのお茶ではなく急須とお湯呑みでお茶を淹れてみてはいかがでしょうか。ペットボトルでは、味わえない旨味を体験してみましょう。
お茶の種類 | 温度 | 時間 | 茶葉/湯量 |
煎茶 | 80℃~90℃ | 1分~1分半 | 茶葉2g/80cc |
深蒸し煎茶 | 70℃~80℃ | 30秒~40秒 | 茶葉2g/80cc |
かぶせ茶 | 60℃~70℃ | 1分~1分半 | 茶葉2g/60cc |
ここ数年、国内においては“日本茶離れ”が加速し、お茶っ葉でお茶を淹れるという人が急激に減っていると言われていますが、海外では健康志向の高まりから「お湯に溶かして飲める粉末タイプのお茶」の輸出が増えているそうです。
「しんどふじ【身土不二】」とは、自分の身体と土は一体であり、自分の住んでいる国、土地でとれたものを食べようという考え方です。生まれ育った風土で作られた作物は、体に 合っていると言われています。旬の季節に採れた素材を新鮮に味わうことも重要です。薬膳で緑茶は、熱を冷ます作用があり属性としては『寒性』に属します。また、緑茶の特徴的な味は『苦味』です。夏の暑さでイライラしやすくなっている時は緑茶の苦味と清熱作用でクールダウンすることができるので、これからの季節におすすめのお茶です。風薫る菖蒲月にこの時期しか味わえない日本の誇る旬の新茶を楽しんでみてはいかがでしょうか。