清上防風湯とニキビについてお伝えします。
ニキビは、医学用語で「尋常性ざ瘡」と言います。ニキビができるきっかけは、皮脂の過剰な分泌が原因で毛穴に皮脂が詰まったり、毛穴の角質が厚くなったり毛穴をふさいでしまうことです。そこに、アクネ桿菌が増えてしまうことでニキビが発生します。
ニキビが起きる流れは
という順番で発生し、最後にニキビ跡が残るケースがあります。
ニキビは、「思春期ニキビ」と「大人ニキビ」があり、年齢や発生する場所や原因が違います。
顔にできることがほとんどだが、顔以外にも皮脂腺が多い場所にニキビがでます。なお、手のひらや足の裏には皮脂腺がないため、ニキビはでないです。(毛が出ないところはニキビがでないと考えてよいです。)
さて、ニキビを漢方医学的な観点からみると「血熱証」に該当すると考えられます。血熱証とは、身体の中にある臓器に熱がありそれが血に影響した状態になります。ニキビ以外の症状としては、アトピーなどの発疹や吹き出物、鼻血、女性だと月経周期が早くなるなどがあります。そして、身体の臓器でも「肝」の影響が強いとされます。漢方医学での臓器は、肝・心・脾・肺・腎とあり、西洋医学での臓器とは異なります。詳しい説明は割愛しますが、肝の働きとして「精神の安定化」、「情報の処理と決断」、「新陳代謝、血の貯蔵」などがあります。「大人ニキビ」ではストレスの影響が大きいですが、肝の「精神の安定化」が関係していることがうかがえます。
漢方医学的な観点では、ニキビ治療は、「熱」をとることと、「肝」の調整をすることが必要になってきます。
清上防風湯は、中国・明時代(1587年)に著された『万病回春』という書物が原点になっています。「面に瘡を生ずる者は上焦の火なり。上焦の火を清し、頭面に瘡癤風熱の毒を生ずるを治す。」と記載されています。ここで出てくる「上焦」とは、漢方医学の言葉で横隔膜より上の部分の事を指します。清上防風湯ができた当時から顔にできた吹き出物を治していたことがうかがえます。
そして、下記のような自覚症状を持つ方に効果が出やすいです。
・湿疹、皮膚炎:充血していて赤みが強い。ニキビであれば一つひとつが大きく、赤みが強く、先端に膿をもつ人。顏だけでなく、前胸部や背中にもニキビができやすい。
・赤ら顔、皮脂が多く充血する傾向がある。
・のぼせ(顔面の充血感や頭が重いが、足の冷えがある。)
・目の充血
・発汗傾向は強くなく、顔面以外の肌は乾燥傾向であることが多い。
・尿量減少
・便秘傾向
そして、月経周期でニキビが良くなったり悪くなるような方の場合だと、清上防風湯では効き目が出にくい場合があります。その場合は、桂枝茯苓丸科加薏苡仁など「肝」を調整する漢方薬が必要だと考えます。
いずれにしても、「顔は五臓の鏡」というような言葉があるように症状によって顔のトラブルは色々なことを考える必要性がありますが、ニキビの漢方薬治療では清上防風湯をファーストチョイスと考えてよいと思います。