食材には体を温めたり冷やしたりする性質(五性)があり、5つのグループに分類されます。体を温める「温性」、体を極端に温める「熱性」、体を冷やす「涼性」、体を極端に冷やす「寒性」、体を温めも冷やしもしない「平性」です。
〇温熱性食物〇
「温熱性食物」は字のごとく、食べると身体が温まります。
温まることによって、内臓の働きが活発になるため、栄養が吸収しやすくなります。
また代謝や血液の循環も活発にします。同じ温める性質でも熱性のもののほうが温性より強い働きを持つと捉えます。
〇寒涼性食物〇
「寒涼性食物」は食べることで身体を冷まします。
冷やすと言うとネガティブなイメージがあるかもしれませんが、暑い時に身体にこもった熱、そして炎症など身体に良くない熱を冷ますなど寒涼性の作用が必要となる時もあります。
中医学では血熱と言って体内にこもった熱が血液にまで浸入してしまうことで鼻血などの出血症状、にきび、ほてり、便秘など様々な症状が出るという概念があります。その血熱を緩和する涼血という働きもします。また身体に溜まった老廃物を外に出す作用もあります。同じ冷ます性質でも寒性のほうが涼性より効力が強いとされています。
〇平性食物〇
「平性食物」は温熱性にも寒涼性にも属さないものを指します。
食べ物のおおよそ7割は平性といわれています。
全てがそうとは言い切れませんが、温熱性食物は寒い土地・寒い季節に摂れるもの、寒涼性食物は暑い土地・暑い季節に摂れるものが多い傾向にあります。
また必ずしも根で育つものが温熱性とも限りません。例えばれんこんは寒性、大根やごぼうは涼性です。(厳密にはごぼうは涼性に近い微涼性と言われています)
すべての食物は必ずどれかの性質を持ち、複数の性質を持つということはありません。ただし調理法によって食性が緩和する例はあります。れんこんの寒性、だいこんの涼性は生の状態が示す食性で、加熱することでいずれも平性になると言われています。
―食品群別で食性を比較―
〈穀類〉
温熱性…もち米、赤米、インディカ米
寒涼性…小麦、大麦、はと麦、そば、ひえ
〈野菜〉
温熱性…生姜、玉ねぎ、にんにく、葱、わさび、蕪、紫蘇、南瓜など
寒涼性…茄子、大根、れんこん、セロリ、胡瓜、苦瓜、冬瓜、トマト、レタス
〈果物〉
温熱性…桃、栗、あんず、さくらんぼ、ざくろ、ココナッツ、きんかん、ライチ
寒涼性…柿、バナナ、スイカ、メロン、梨、苺など
〈肉類〉
温熱性…羊肉、鶏肉、牛すじ(牛肉自体は平性)など
寒涼性…合鴨肉、牛タン、馬肉など
〈魚介・海藻類〉
温熱性…海老、いわし、あじ、鮭、穴子、鮎、太刀魚など
寒涼性…蟹、昆布、海苔、はまぐり、はも、あさり、しじみなど
〈調味料〉
温熱性…黒砂糖、酢、酒、菜種油など
寒熱性…白砂糖、塩、しょうゆ、ごま油、バター、オイスターソース等
※食性は文献によって異なる場合があります。 食は毎日のこと。そこに薬膳の考え方をプラスして、賢く料理をしませんか。毎日3回、美味しいと思う食事が365日続いたら、それは幸せな時間を積み重ねていることになります。そこに薬膳の知恵があれば、健康も積み重ねていくことができるのです。