松栄堂薬局がお届けする健康発信ブログです。皆さんの美容と健康をお助けするお役立ち情報を発信していきます♪

黄連解毒湯とアトピー

 アトピーの症状で頻用される黄連解毒湯についてみていきたいと思います。 

アトピーについて 

 まず、最初にアトピーについて説明をします。アトピーには、鼻炎や皮膚炎などの症状もありますが、ここではアトピー性皮膚炎についてお伝えします。「アトピー」とは、「不思議な病気」を意味する言葉になります。 

悪くなったりと良くなったりを繰り返す痒みある湿疹を主症状とする疾患である。 多くの場合、気管支喘息、アレルギー性鼻炎、結膜炎、アトピー性皮膚炎などの原因をご自身か御家族がもっている体質になります。 

 症状としては、痒みがあり、皮膚が赤くなったりできものができる湿疹が、体のさまざまな部位に左右対称性に、慢性的に繰り返してみられる。乳児期あるいは幼児期から発症し小児期に寛解するか、あるいは寛解することなく再発を繰り返し、成人になっても症状が持続してみられることもある。また、唾液、汗、髪の毛の接触、衣類との摩擦、掻破による刺激、外用薬、化粧品、金属、シャンプーやリンスなどのかぶれ、ダニ、ほこり、花粉、ペットの毛などによる吸入、食物、ストレスなどで悪化することがある。 

 発症する主な原因は、分からない部分があり、アレルギー体質のほか、ドライスキン(乾燥肌)で皮膚のバリア機能が低下するなど、遺伝や生まれながらの体質も原因のひとつとされています。 

 アレルギー性皮膚炎という言葉に「炎」がつくように炎症が体内で起きているため体内に熱が出る症状や乾燥が起きていると考えます。 

黄連解毒湯について 

 黄連解毒湯とは、中国・唐時代(752年)に編纂された『外台秘要方』を原典とした漢方薬です。 名前の通り、生薬の黄連をメインにして解毒する、という漢方薬です。そして、「実熱を治する処方」と言われることが多い漢方薬です。「実熱」という言葉が出てきましたが、「熱」には、炎症、充血、出血、発熱あるいは、”体が熱く感じる“,精神的興奮,顔面が赤いなどの状態を意味し、「実」には、漢方医学でよく使われる「実証」を意味し、体力が充実している状態、抵抗力がある状態、疲れていない、などの状態を意味します。つまり、傾向としては元気な方や熱がりな方が対象になります。 

 実熱を治するということから、効能・効果が「体力中等度以上で、のぼせぎみで顔色赤く、いらいらして落ち暦かな い傾向のあるものの次の諸症:鼻出血、不眠症、神経症、胃炎、二日酔、血の道症、めまい、動悸、更年期障害、湿疹・皮膚炎、皮膚のかゆみ、口内炎」(タキザワ漢方廠)となっています。 

 そして、黄連解毒湯は下記のような症状を訴える方に有効です。 

・ 熱感を感じる:ノドノ渇き、皮膚乾燥、のぼせ、顔面紅潮などがある。熱性病の急性期にも、慢性化した状態でも適応できる。疲れているような状態で服用すると、しびれ、冷え、粘膜炎症症状など、思わぬ症状が現れることがある。 

・ 出血:炎症や充血のため、吐血、喀血、鼻出血、血尿、下血などの出血症状がある。 

・ 精神症状:イライラ、不眠、不安感.本方の適応となる不眠は、頭が冴えてなかなか眠れない、イライラして眠れない場合。 

 さらに、応用として下記のような疾患・症状にも適応できます。 

高血圧症、高血圧の随伴症状、動脈硬化症、心悸亢進、喀血、急・慢性胃炎、口内炎、胃・十二指腸潰瘍、吐血、下血、脳血管障害後遺症、自律神経失調症、神経症、不眠症、過換気症候群、心臓神経症、皮膚瘙痒症、皮膚炎、湿疹、アトピー性皮膚炎、尋常性痤瘡、蕁麻疹、色素沈着症、鼻出血、歯肉出血、性器出血、更年期障害、めまい、二日酔い 

アトピーと黄連解毒湯について 

 アトピー性皮膚炎と黄連解毒湯に共通る項目は、「熱」や「炎症」になります。つまりアトピーがある方は、「顔が赤い」や「吹き出物」が多いという傾向があります。漢方医学では、熱によって「吹き出物」できると考えています。 

 つまり、熱を抑えることでアトピー性皮膚炎の症状を和らげるというのが黄連解毒湯になります。 

 なお、アトピー性皮膚炎に使われる漢方薬として「消風散」や、「清上防風湯」などがありますが、下記のように使い分けが良いかと考えます。 

消風散:皮膚炎に使う点で共通するが、ネバネバした粘稠な分泌物がある場合 

清上防風湯:にきびがメインで、顔に症状が強い場合 

 黄連解毒湯は、アトピー性皮膚炎のみならず炎症がある慢性の湿疹・皮膚炎の治療に困った場合に陽交性がある漢方薬だと考えます。