加味逍遙散、桂枝茯苓丸、当帰芍薬散は、三大婦人漢方薬といわれています。いずれも更年期障害や血の道症で頻繁に使われる漢方薬ですが、症状などによって使い分けをします。
目次
・全身倦怠感、肩こり、のぼせと寒気、頭痛、頭が重い、めまい、不眠、不安、イライラ、怒り易い、ホットフラッシュなどの自律神経失調症状及び更年期症状がある。
・月経異常、月経不順(月経の周期が乱れることが多い)、PMS(月経前症候群)、神経症、抑うつ症状など、月経周期に一致して生じる症状がある。
・ドライアイや目の異物感を感じる。
・食欲不振、もしくは、ストレスで胃腸が痛い。
・のぼせ冷えが強い。
・やや便秘がある、もしくは、下痢便秘の症状を繰り返す。
中年女性に使用する機会が多いが、神経症的傾向を持つあらゆる年齢層の男女に使用できる.
加味逍遙散という名前の” 逍遙”には、” いったりきたりする、ぶらつく”という意味があり更年期障害特有の不定愁訴を表しています。
・桂枝茯苓:顔面紅潮(顔が赤くなっている状態)、もしくは、顔色がやや赤黒い状態で肌は浅黒く肌荒れていることが多い。上半身は暑いけど下半身に冷えを感じる。加味逍遙散、桂枝茯苓丸、当帰芍薬散の中で一番元気がある。イメージとして血流やリンパの流れが悪い。
・当帰芍薬散:顔色が色白ないし蒼白ぎみ。冷え症があり、めまい、頭痛、むくみ傾向(夕方足がむくみやすいという程度の軽い症状)などの症状を示すことが多い。あまり神経質では無く、精神不安などの精神症状が少ない。漢方医学では、虚証と言われる状態で疲労感や栄養や元気が足りない状態になっている。
・赤ら顔(やや赤黒い顔をされている方が多い)
・締め付けられるような圧迫感やズキズキする感じがある頭痛(筋緊張型頭痛)
・肩こり(3種類の中で一番傾向が強い)
・のぼせ冷えがある(上半身はほてる感じがあるが、下半身に冷えを感じる)
・めまい(3種類の中で一番傾向は弱い)
・生理不順、月経困難症、不妊症、子宮筋腫、子宮内膜症、経血色が黒い
など
駆瘀血剤と言われる漢方薬。”瘀血”と言われる血行障害もしくは血行障害による症状や疾病に効く漢方薬の代表的な存在です。瘀血の原因には、ストレスや外傷や貧血や栄養不足や不規則な食生活などがありますが、万病の元ともいわれることがあります。
瘀血によって、皮膚の艶がなくなる、シミ、アザができる、肩こり、関節痛、筋肉痛、頭痛、思考力低下、物忘れ、イライラ、子宮内膜症、子宮筋腫、不妊 などが起きます。
桂枝茯苓丸には瘀血を改善する作用があるため女性のみならず男性に使用することがあります。
駆瘀血剤という血流を改善させる作用による”デトックス作用”があります。いわば”出す”という作用があるため妊娠中に服用すると流産の危険性があるため妊娠中は服用が不可である。
・加味逍遙散:華奢な女性に使用することが多く、神経質な印象で抑うつ的な傾向が多い。不定愁訴(「なんとなく体調が悪い」という検査結果に現れにくい症状)が多い。
・当帰芍薬散:月経不順、月経困難症で用いる点で共通だが、色白もち肌、むくみやすい体質で、やや貧血気味な方が多い。不妊症での使用頻度が高い。
・更年期障害
・顔が色白で瘦せている場合が多い。
・浮腫(むくみ)がある。(3種類の中で一番浮腫が出やすい)
・めまい、立ちくらみ
・頭が重い、耳鳴り
・肩こり,腰痛
・冷え症(3種類の中で最も冷え性の傾向が強い)
・貧血気味、子宮出血がある。経血色が薄い。
など
「当芍美人」という表現があるように色白・面長でほっそりとした柳腰の女性が、当帰芍薬散の適応になる場合が多い。
「妊活」にも用いられる漢方薬で服用することによって基礎体温の変化が起きる作用があります。
妊娠後期には、安胎薬として用いることができる。
・桂枝茯苓丸:当帰芍薬散と比べ元気な方が多い。顔色が、赤ら顔、もしくは、赤黒い顔をされていて貧血気味な傾向は無い。
・加味逍遙散:神経質な印象で抑うつ的な傾向が多い。貧血気味な傾向は無い。
三大婦人漢方薬と言われる加味逍遙散・桂枝茯苓丸・当帰芍薬散には、それぞれ特徴があり使い分けをする必要があります。
ただし、どれにするか鑑別が難しい場合もあります。そのような場合は、2種類服用したり、三大婦人漢方薬以外を服用して調整を行います。