桂枝茯苓丸科加薏苡仁は、桂枝茯苓丸に薏苡仁を加味した処方になります。桂枝茯苓丸だけでも、シミに効くとされていますが、ヨクイニン(薏苡仁)を加味することでシミに対する効果が増加します。
漢方薬の説明の前に、漢方医学について簡単に説明をします。漢方医学の大事な考え方に「気血水」と「五臓」というものがあります。
肌に注目した場合、「血(けつ)」と五臓の「肺」が重要になってきます。
「血」とは、一般的に言われる西洋医学の血液とは違う概念になります。役割として” 全身の組織・器官に栄養分を供給し,滋潤する働き”があります。つまり、「血」の調子が悪くなると、顔色が血色不良、つかれやすい、顔色(とくに日のまわり)の黒ずみ、日・唇が暗紫色、顔・皮膚の色素沈着、青あざがよくできる、皮膚がカサカサする、サメ肌 など、の症状が出ます。特に、皮膚症状が出やすい傾向にあります。そして、「瘀血」と言われる血が滞った状態になるとシミになりやすくになります。
シミとは、メラノサイト(シミの原因になるメラニンを形成する細胞)の増殖やメラニン産生が多くなることによっておきる皮膚の色素異常症の一つになり、そして、メラニンが皮膚に沈着(色素沈着)することでシミが出来ます。そして、要因としては、①紫外線、②炎症が長く続いた場合、③メイクアップ用品の乱用、④薬や食品、⑤老化、⑥遺伝的要因、⑦ホルモンバランスの乱れ などがあります。そして、改善する方法の一つに血流を改善してターンオーバーの正常化、もしくは、早くすることがあります。
「瘀血」の状態になると皮膚に対する血流が減ってしまい皮膚に必要な栄養を供給が減ってしまうためターンオーバーが遅れ気味になってしまいます。
五臓の「肺」は、皮膚と関係しています。漢方医学の言葉に「肺は皮毛を主る」という言葉があります。皮毛とは、皮膚、汗腺、体毛などの体表にある組織の事になります。つまり、肺の調子が悪くなると肌の調子が悪くなるという事になります。
前置きが長くなってしましましたが、まず桂枝茯苓丸科加薏苡仁の基になった桂枝茯苓丸についてみていきます。
桂枝茯苓丸とは、主に更年期障害や月経不順に使われている漢方薬になります。更年期障害では、赤ら顔でのぼせがある方、月経不順では経血色がドロッとしているような方が対象になります。そして、子宮内膜症や子宮筋腫などでも使われることがあります。
桂枝茯苓丸の特徴は、瘀血をとることで「血」のめぐりがよくなります。
そして、桂枝茯苓丸科加薏苡仁では、皮膚症状を改善する効能がある「薏苡仁(ヨクイニン)」が加味されています。薏苡仁(ヨクイニン)は、肌症状を改善する作用があると知られていますが、五臓の「肺」をよくする作用もあります。
桂枝茯苓丸だけでも効果がありますが、さらに「薏苡仁(ヨクイニン)」を加味することで、肌に栄養素をいきわたらせ、皮膚のターンオーバーを正常化させることで、肌は日々生まれ変わり、シミや、さらには、ニキビ、手足のあれなどの肌のお悩みを改善します。
そして、シミには、①老人性色素斑(日光性黒子) ②雀卵斑(そばかす) ③炎症後色素沈着 ④肝斑 の4種類があります。どの症状に対しても、桂枝茯苓丸科加薏苡仁の効果はありますが、一番効果がある症状は④肝斑になります。
肝斑とは、30代から40代女性に多い症状で紫外線の影響と女性ホルモンのバランスの崩れで起きてきます。更年期障害やプレ更年期障害の時期と重なってきます。桂枝茯苓丸科加薏苡仁では、更年期障害やホルモンバランスに効く桂枝茯苓丸と肌に直接作用する薏苡仁が組み合わさることによって相乗効果が得られます。